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西成 勝好(大阪市立大学特任教授) |
この度、田島眞先生の後を受けて会長に就任いたしました。その責務の重大さに身の引き締まる思いがいたします。今後この任務を遂行できますよう会員の皆さま方にご支援ご協力をお願いたします。
本学会は1953年(昭和28年)に農産加工技術研究会として発足しまして、その後、1984年には社団法人日本食品工業学会として認可を受け、さらに1994年には日本食品科学工学会と名称変更して発展してきました。来年2013年には創立60周年を迎えます。
昨年の東北地方の大震災後の復興に時間がかかっておりますが、着実にこれを進めるうえでも、食品産業の果たすべき役割が期待されております。国土面積、気候風土、農業人口の減少等の制約から、食資源は限られておりますが、これを有効に生かすために加工・保存・流通技術を発展させて、公的機関、内閣府の食品安全委員会、消費者委員会とも連携しながら、食の安全安心を保障する面でも本学会の貢献が求められております。さらに、高齢社会の到来に伴い咀嚼嚥下困難者が増加する中で、これらの人々に適切な食べ物が提供されなければなりません。高齢者の死因の第一位は誤嚥性肺炎ですが、これを防ぐことができるような食事の提供が求められております。
また、今日の国際化の中で諸外国の食品科学工学関係の学会を通じた食品産業との交流も重要になっております。日本では1978年に京都で第5回食品科学工学国際会議が開催されて以来、開催されていませんが、2001年には韓国ソウル、2008年には中国上海で開催され、他のアジア諸国も国際交流に熱心であります。これら近隣諸国をはじめ諸外国との交流の活性化が求められています。国際交流にも会員諸氏の積極的な関与が期待されております。
さらに、国内関連学会との連携を強化し、4年前から大会時に開催している研究小集会を充実させてきましたが、このようなテーマ別の研究グループの活発な活動が学会の発展につながるものと期待されます。昨年から学会誌の投稿・査読がIT化されまして、一層の発展の基礎はできております。より一層ホームページを通じた情報提供を充実させて、若手の研究者・学生にも魅力のある学会活動が展開されるようにしたいものであります。
本学会の会員は大学、公的研究機関、食品企業の研究開発部門などに勤務しておりますが、これらの協力関係を強化していく必要があります。それぞれの研究者、技術者は長期的な展望を持つ基礎研究、短期的に解決しなければならない課題直結型の開発研究に従事しておりますが、情報、意見を交換できる場が食品科学工学会であります。基礎研究は企業にとって役に立つのかと問われることがありますが、短期的に解決しなければならない問題も抜本的な解決を図るためには基礎にさかのぼらないとできない場合が多いと言われております。時間的なゆとりがなく応急処置をしなければならない時も、基礎研究の基盤がある場合にはより良い方法を取ることが可能になると期待されています。
いわゆる経済新興国が台頭し、少子化に伴う人口減少の流れの中で、学会の会員数も漸減の傾向があり、我々の学会の発展も容易ではありませんが、社会に要請されている使命に応えるためにも、会員の皆さま方のご支援ご協力を重ねてお願い申し上げます。 |
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